それじゃあ、執事が料理をしたりしてもおかしくないってことだよね?
今回の小説、執事がお嬢様のために特別なケーキを作るシーンを書こうと思ったけど、使えそうだ。

「松岡くんは料理もお菓子作りも完璧でしょ?
下手なレストランとかお店より、絶対おいしいし」

「畏れ多いお言葉です」

口先では恐縮して見せながらも、私から見える背中には〝当然〟って書いてあっておかしくなる。

「やっぱり料理学校とか通ったの?」

「調理師免許は持っていた方が便利かと、取得するために学校には通いましたが。
基本、独学ですね」

ガスの火を止め、松岡くんは油を処理していく。

「年の離れた姉がいまして、なにかと注文が多いんですよ。
その要望に応えようといろいろ工夫しているうちに、料理がうまくなっておりました。
それだけは姉に感謝です」

「へー」