「ニャンスタ映えしない猫なんて、いらないしー。
だからお返ししますー」

「ああ、そうですか」

唇の端がぴきぴきと引きつる。
いまほど松岡くんにいてほしいと思ったことはない。
きっとあの慇懃無礼な態度で華麗にこいつらを莫迦にしてくれるか、あの高圧的な態度で恐怖にたたき落とすか、どっちかしてくれそうだから。

「えみたん。
猫なんてやめてうさぎにしたら?
ほら、うさぎの方が可愛いよ」

「そうだねー。
てつくん、帰りに見にいこうよー」

甘えるように彼氏に腕を絡ませ、彼女は帰っていったが……もう二度と、ペットを飼おうだなんて思わないでほしい。
不幸なうさぎが生まれないように祈るばかりだ。

「よかったね、あんた。
捨てられなくて」

黒猫はよっぽど酷い扱いをされていたのか、部屋の隅で小さくなったまま動かない。