「なーにが愛してる、だ」

シェアのボタンを押しながら苦笑いが漏れる。
画面の中には知り合いのイラストレーターさんに書いてもらった可愛いイラストアイコンと、大藤雨乃の文字。

【小説書いています】

自己紹介かシンプルにそれだけ。

いままでは出す小説の宣伝用アカウントとして活用していたが、ここ最近はこうやって松岡さんが作ってくれた夕食の写真を上げている。

――ようするに、恋愛ごっこ。

いままでは妄想の恋愛を小説にしていた。
いまはちょうどモデルにするのにちょうどいい人間がいるから、仮装恋愛をしてみようってわけだ。

――って、やっぱり妄想恋愛には違いないんだけど。

なので彼にはぜーったいにバレてはいけない。

「さてと。
今日も投稿したし、仕事しますか!」

気分を切り替えて私は、デジタルメモの蓋を開いた。