「お詫びに今日はあなたの好きな夕食を準備しますので、なんだって仰ってください」

「……ハンバーグが食べたいです」

「かしこまりました」

珍しく目を細めて優しげに笑い、松岡さんが離れる。

心臓がまるで自分のものじゃないみたいに鼓動が速い。
なんだかちょっと、胸も苦しい。

これは……不整脈、なんだろうか。

最近は少し健康的な生活をしているとはいえ、いままでめちゃくちゃだったからなー。
ちょっと、気をつけないと。

「お茶の準備ができましたら、お声をかけますので」

「あ、待って!」

今度こそ、台所に向かおうとしていた松岡さんが怪訝そうに振り返った。

「あ、あのね?
これ、買ったから使ってもらえますか……?」