ツナサンドは私の嫌いな酸っぱいのじゃなくて、マヨネーズがきいている奴だった。
スコーンも相変わらず、さくさくとしっとりを両立している。
夏みかんのタルトも、酸味とクリームの甘さがほどよくマッチしている。

「そういえば、さ」

お茶を注いでいた松岡くんは、手を止めた。

「あの日。
――松岡くんが、王子様に見えた」

ガラスを突き破って私を助けに来てくれた松岡くんは本当に、――王子様、だった。

「私が王子ですか。
それは……」
なんで肩がぷるぷる小刻みに震えているの!?
そんなにおかしいか!?

「光栄でございますが、私としては執事がいいですね」

するり、下ろしていた、私の髪の一房を松岡くんが取る。

「私は一生、紅夏に仕える執事です」

ちゅっ、掴んだ髪へ松岡くんは口付けを落とした。