それに執事の松岡くんは嫌いじゃないどころか好物だ。

「では、お茶の準備をいたします」

「はい。
お願いします」

台所で松岡くんはお茶の準備をはじめた。
それを見ながら、やっと生活が元に戻ったんだとようやく思えた。
いや、これが日常風景っていうのもあれだけど。

「お待たせしました」

ちゃぶ台の上にのったのは、アフタヌーンティのセットだった。

「なんか、懐かしい」

「さようでございますか」
サンドイッチにスコーン、それに今日は夏みかんのタルトとパフェ風のショートケーキ。

「今日はちょっと、豪華だね」

「退院祝いですので」

くいっ、上げた眼鏡がきらりと光る。
そういうところはやっぱり、可愛くて好き。