「私こそ、あんな人を紹介してすみません。
立川さんがまさか、あの殺人犯だなんて気づきませんでした」

「いえ、桃谷さんが悪いんじゃないので」

きっと祐護さんは用心深く、証拠を出さないように、そして誰にも気づかれないようにしていたに違いない。
猫を捕まえるときにできた傷だって、猫好きを装って疑われないようにしていたくらいだ。

「それで指、大丈夫ですか」

私の手を見た、桃谷さんの眉が寄る。

「リハビリすれば動くようになるそうなので。
それに、動かした方がいいみたいなんで、許可が出たらまたばりばり書きますよ!」

「よかった。
それにしても作家の指を切断しようとするなんて立川の奴、編集の風上にも置けない」

ちっ、鋭く桃谷さんが舌打ちした。
もしかして、いつもの可愛いのは演技ですか……?

「じゃあ、お大事にしてください」

「はい、ありがとうございました」