――美味しいケーキとお弁当で。

うん、あの料理に負けるのは仕方ない。


こうしていい雰囲気になるたびに邪魔が入り続け、――退院の日になった。

「もうこっちに棲んでるんだよね?」

「そう言ったはずだけど?」

松岡くんが玄関の鍵を開けてくれる。
今日からここは――ふたりの、家。

「にゃー」

戸を開けた途端、セバスチャンが歓迎してくれた。

「セバスチャン!
セバスチャンのおかげで死なずにすんだよー!
ありがとう!」

「にゃー」

わしゃわしゃセバスチャンを撫でている私を尻目に、松岡くんが荷物を運んでくれる。