「紅夏……」

――ガラッ。

「お兄さん、いるー?
ひぃっ」

眼光鋭く松岡くんに睨まれ、横井さんは棒立ちになった。

「なんで毎回毎回、邪魔するかなぁー?」

松岡くんの口から冷気になって言葉が落ちていく。

「だいたい、もう用はないでしょう?」

「だってお兄さんのケーキ、女性陣に受けがいいから差し入れに頼みたいからさ……」

いや、いじけても可愛くないです、横井さん。

「はぁっ。
いいですよ、上得意ですし」

「やったー」

なんだろね、この人たちは?
ちなみに横井さんはやっぱり、松岡くんに懐柔されていたらしい。