――ガラッ。

「作家先生、事情を聞きたいんでいいですかね。
……ひぃっ」

勢いよく戸を開けた横井さんは松岡くんから睨まれ、短く悲鳴を上げた。

「いま、いいとこだったのに……」

「は?」

「いい!
一回、帰ってくる!」

「あ、お兄さんも話を聞かなきゃだから、あとでねー」

怒って出ていった松岡くんとは対照的に、横井さんはへらへらと笑っていた。

「……そういうところが嫌われるんですよ」

後ろに控えていた女性警官がぼそっと呟いた。
彼女と横井さんは仕事上、ペアを組んでいるらしい。

「それで。
作家先生、話、いいですかね」