「は?」

意味がわからないのか、松岡くんは彼にしてはずいぶん間抜けな顔をしていた。

「疑ったりして、ごめん。
ううん、疑っただけじゃなくて犯人扱いして、ごめん。
それに会社にもクレーム入れたし。
ごめん」

「あー……」

なぜか松岡くんはあたまをがしがし掻いている。

「そりゃ、紅夏に信じてもらえなくてショックだったし?
なんか俺、悪いことしたのか考えたけど、いくら考えても全然わかんないし?
そのうえ、俺が犯人とか言われてほんとショックだったけど」
はぁっ、短く彼はため息を落とした。

「事情聴取で警察呼ばれてさ。
アリバイ確認とかされてほんと、腹立った。
まあ、そっちはちゃんと証明されて無罪放免になったけど。
だいたい俺、仕事するとき以外は私服だし?
猫巡りするのにこんな目立つ格好なんてしないし?」

「あ……」