腕を組んでわざとらしく、ふんっと父は鼻息を吐き出した。
そういうのは彼を馬鹿にしているようで本当にムカつく。

「お……」

「お父さんのいう高尚なものってなんですか」

私が食ってかかるよりも早く、制するように彼が口を開いた。

「芥川賞受賞作ですか。
それとも海外文学?
ちなみに芥川賞作品にはすべて目を通していますし、海外純文学もたしなむ程度には」

うっすらと口もとだけで彼が笑う。

私に向けられたものじゃないとわかっていても背筋がぞぞぞっとしたし、父も黙ってしまった。


「……とにかく。
お父さんに認めてほしいとは思ってない。
ただ、馬鹿にしないで。
否定しないで。
それは、全部のTLノベル作家……ううん、頑張って書いている作家に失礼だから」

「……」