「そんなの、どうでもいい!
私を守って、セバスチャンが……」

私にかまわず、持ってきたタオルで松岡くんは私の手を、指を固定するようにぐるぐる巻きにした。

「わかってる。
わかってる、から」

そういう松岡くんの手は、――震えていた。

「作家先生、無事ですか!」

横井さんは私の姿を見て、痛そうに顔をしかめた。

「無事じゃないですね。
すぐに病院に行きましょう」

横井さんはてきぱきと周囲の人間に指示を出している。
その姿は私を適当にあしらっていたのと同じ人物とは思えない。

「私はいいから、セバスチャン……!」

「俺が連れていってくる」
松岡くんは横井さんとなにやら相談をはじめた。
横井さんは困っているのか、あたまをがしがしと掻いている。