「紅夏になにしやがる!?」

――ガッシャーン!

――ピピピピピピピピピピピピピピピピッ!

ガラスの割れる音とともにけたたましく警報が鳴り響く。
割れた掃き出し窓から執事服姿の松岡くんが飛び込んできた。

「お前、紅夏になにする気だ!?」

がっ、松岡くんの拳が祐護さんの顔にクリーンヒットし、吹っ飛んでいく。

「あ゛あ゛っ!?
紅夏になにする気だったんだ!?」

祐護さんに馬乗りになり、その胸ぐらを掴む。
こんな状況だというのに、祐護さんはへらへらと笑っていた。

「ゲームオーバー、かな。
あーあ、もうちょっとでベストセラーの誕生だったのに」

「……は?」

松岡くんは完全に呆気にとられているが、それは私も同じだった。

「だって僕、怪我するのヤだし。
無理ゲーはしない主義なの」