ワインを傾けながらゆったりと食事をする。
こんなに楽しい食事はいつ以来だろう?

「紅夏。
食べながら寝ちゃダメだよ」

目の前のステーキがゆらゆら揺れる。
昨晩はゆっくり寝たとはいえ、ここのところ不眠不休に近かったし、まだ疲れているのだろうか。
それに、お酒も入ったし。

がくんとあたまが落ちて、衝撃で目を開けた。
けれどすぐにまた、目の前がゆらゆらと揺れだす。

「ほら、寝ちゃダメだって」

祐護さんがおかしそうにくすくすと笑っている。
わかっているのだけれど、眠くて眠くて仕方ない。

「あーあ、寝ちゃった。
おやすみ、紅夏。
よい夢を……」

額に触れた柔らかい感触を最後に、意識は暗闇に閉ざされた。



「んんーっ!」