「おかえりなさい」

「ただいま」

ちゅっ、祐護さんは私の額に口付けを落とした。

「すぐにごはんの用意するから待っててね」

「別に急がなくていいですよー」

手伝う、とか言った方がいいのかな。
でもなんだか照れくさい。

テレビをつけてぼーっと眺める。
さっきまで一緒のこたつに入っていたセバスチャンは、玄関が開くと同時に姿を消した。

「ふーん、ふんふんふーん」

なんだか、台所から鼻歌が聞こえてくる。
今日は祐護さん、酷くご機嫌みたいだ。
もしかして返事がもらえるからかな。

――返事。

この期におよんでまだ迷っている自分に苦笑いしかできない。

祐護さんには松岡くんに抱いていた、いつも一緒にいたいなんて思いはない。