こんなにしてくれる祐護さんに恩返しがしたい。
だからあれは全力を尽くして書いた。
これで一次選考も突破できなかったら……祐護さんに合わせる顔がない。

「じゃあ、おやすみなさい」

「おやすみ、紅夏。
あ、明日は受賞の前祝いをしよう」

「き、気が早いですよ!」

まだ、あれはエントリーしただけなのだ。
一次を突破したとか、ましてや入賞の連絡をもらったわけでもない。

「エントリーしたらもう受賞したも当然だよ。
僕はそれだけ、あれを買っているからね」

パチン、と器用に祐護さんが片目をつぶってみせる。
なんだかそれが、酷く恥ずかしい。

「あ、……ありがとう、ござい、……ます」

「ん、じゃあ今日はゆっくり寝て。
おやすみ、紅夏」

「おやすみなさい」