なのでもう調べなくてけっこうですって、お断りした。

それに松岡くんを追い出してから、嫌がらせはピタリとやんだ。
もうこれは、彼が犯人だといっているようなものだ。


「紅夏、僕もう寝るね。
無理しちゃダメだよ」

「んー」

もう執筆に集中していたから返事はおざなりになる。
でも祐護さんもわかっているから怒ったりしない。

「おやすみ、紅夏」

少しして茶の間の電気が消える。
祐護さんは茶の間に布団を引いて寝起きしていた。

「もう一踏ん張り、だからっ」

締め切りは一週間後。
一応書き上がったものの、ぎりぎりまで改稿にあがく。

これを出したら、祐護さんへの態度をはっきりさせるべきだろう。
祐護さんもそれで納得してくれている。

それにいつまでもこの状態に甘えてはいられない。

けれどそのとき――私はどう、返事をするのだろう。