いきなり目の前に顔が現れて、危うく椅子ごと後ろ向きに倒れそうになった、が。

「おっと!」

危なげなく祐護さんが支えてくれる。

「危ないよ、紅夏」

「……すみません」

誰のせいだ、と口から出かかったものの言わないでおく。

「ごはんだよ。
また朝ごはんも昼ごはんも食べてないんだから。
夜くらいしっかり食べないと」

「……はい」

ううっ、また怒られた。
食べなきゃってわかっているけど、集中していたら忘れるんだもん。

「ほら、ごはんごはん」

追い立てられるように茶の間へ移動する。
こたつの上にはカツ丼がのっていた。