「そ、それで。
こ、こちらが解約の書類になります。
さ、サインをいただけますでしょうか」

差し出された封筒はぶるぶると震えている。
心の中で苦笑いして受け取り、サインをして戻した。

「あ、ありがとうございます。
そ、それで松岡の荷物というのは……」

「これです」

立川さんが荷物を押しつける。
林さんはちゃんと受け取ってくれた。

「ほ、本当に大変ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。
松岡には重々、言っておきます。
またいままでのご利用、ありがとうございました」

最後の最後まで林さんはぺこぺことあたまを下げて帰っていった。

「あそこまで彼女を責めなくても……」

今日の出来事が彼女のトラウマになっていないか祈ってしまう。