「その、……なんでもないです」

こんなこと、彼に相談していいのかわからない。
曖昧に笑ってごまかした私に彼は怪訝そうだ。

「そうですか?
すぐにお茶のご準備、いたしますね」

「……はい、お願いします」

きっと気のせい、そうに違いないとまた自分に言い聞かせながらも、不安でしょうがなかった。

「どうぞ」

「……ありがとうございます」

いつも楽しみにしているアフタヌーンティなのに、今日はいまいちテンションが上がらない。

「……あれ?」

ティーポットを置こうとした松岡さんの腕を掴む。

「なにかついてますよ……?」

ジャケットの袖口についていたそれは、……動物の毛?