「ああ、そうですか……」

彼に悪気がないのはわかる。
私を心配してくれているのも。
でも、相談も無しに勝手にこんなことをされるのはちょっと嫌。

「ありがとう、ございます」

きっと私の笑顔は多少引きつっていただろうが仕方ない。

「もうすぐ洗濯も終わるからねー。
干してしまったらお昼ごはんを作るよ」

「え……」

待って待って、洗濯って、なに?

洗濯カゴには下着も突っ込んでいたはずなのだ。

あれだって最初は、松岡くんに洗ってもらうのが恥ずかしくてそれだけ自分で洗っていた。
まあ、そのうち面倒くさくなったものあって割り切って洗ってもらうようになったけど。

「そんなの、私がやりますよ!」

「ダーメ。
紅夏には執筆に専念してほしいの。
もう蒼海文芸大賞の締め切りまで日がないからね。
……あ、洗濯終わったみたい」