「え?」

集中したいのでできればひとりにしてほしい。
それにもし集中してしまったら、立川さんの存在なんて忘れてしまうだろうから、悪いし。

「紅夏が心配なんだ。
あんなことがあったばかりだろ?
また、松岡がなにかしてこないとは限らないし」

どんどん、立川さんの顔が曇っていく。
そんなに心配してくれているのだと、申し訳なくなってくる。

「あと、僕の好きな紅夏の傍に少しでも一緒にいたいんだけど。
……ダメ、かな」

小首を傾げて可愛く聞かれたもーダメ。
私の首は勝手に縦に振っている。

「よかったー」

ぱーっと立川さんの顔が輝く。
そういうのほんと、眩しいです。


仕事部屋に戻り、デジタルメモを立ち上げる。
蒼海文芸大賞の締め切りまでもう、一ヶ月しかない。