当のセバスチャンといえば、ドアの影からじっと警戒して見ている。
喜んで飛んでいく、松岡くんのときとは大違い。

「じゃあ、食べようか」

「はい」

手を洗ってきた立川さんと一緒に、買ってきてくれたパンを食べる。
美味しいお店だということだったけど、ツナサンドは私が苦手な酸っぱい奴だった。

「美味しかったです、ごちそうさまでした」

「うん。
紅夏はまた、いまから書くの?」

「できればそうしたいんですけど……」

ちらっと立川さんをうかがう。
書きたいのは山々だが、彼がいるとなればそういうわけにはいかない。

「僕のことは気にしないで。
紅夏が書きたいのなら書くのが一番だと思うし。
でも、今日は休みだし、ここにいていいかな」