そして新たに、小説を書いている。

――深い愛情と絶望を、知ったから。



――ガンガンガン、ガンガンガン!

「紅夏、生きてる?
紅夏!?」

遠くで、立川さんの声がする。

「紅夏?
紅夏!?」

もー、いま気持ちよく寝ているんだから……って!

がばっと、突っ伏して眠っていた机から思いっきり起き上がる。

「はい!
ちょっと待ってください!」

戸をがたがたやっている立川さんは破壊も辞さない勢いで、慌てて鍵を開けた。

「紅夏!」