それくらい自分でやると言いたいところだが、きっと面倒くさくなって放置するのが目に見えている。
実際、彼がいない日に使った食器は流しに放置だし。

「それでは本日は失礼させていただきます。
次回は来週の月曜日に」

エプロンを外し、松岡さんは私へお辞儀した。
どうでもいいがあの、メイドエプロンのような白のふりふりエプロンは執事の美学に反しないんだろうか。
執事に憧れてイギリスの執事学校に留学もしたらしいが、エコバッグといいエプロンといい、どこかずれている。

「はい、ごくろうさまでした」

松岡さんが帰ったら、ようやく私の仕事時間。
明日は予定なんてないし、いつまでだって書いていられる。
仕事部屋に戻り私は、デジタルメモを立ち上げた。



……あ、まただ。

今日は少し早く起きられたので松岡さんが来るまで、仕事をしていた。
窓の外を誰かが通った気がしてデジタルメモから顔を上げる。

……もしかして、買い手がついたとか?