が、それを乱雑に振り払った。

「離して!
このまま出て行って!
もう二度と、顔も見たくない!」

「紅夏!」

「早く!」

彼は自転車のスタンドを起こしたものの、まだ振り返ってなにか言いたげに私を見てくる。

「さっさと出て行って!」

「……」

ようやく彼がいなくなり、猫の傍に跪いた。

「セバスチャン」

揺すってみたけれど反応はない。

「セバスチャン」

もう一度、揺すってみる。
本当はわかっているのだ、もう動かないのだと。
だってそれは――冷たく、固くなっていたから。

「なんでこんなことになっちゃったんだろう……」

動かないセバスチャンを抱きしめる。
全部――全部、私の責任、だ。