「来るな!」

怒号で足が止まる。
彼が振り返るのと同時に、その足下へなにかが落ちた。

――ぼと。

ぐったりとした、黒い塊。
見覚えのある、首輪。

「……なんで」

怒りで腹の底がマグマのように煮えたぎる。

「なんでセバスチャンを殺したの!?」

「お、俺じゃない」

けれど松岡くんの手は血に染まっていた。

「立川さんの言う通りだった。
あなたなんて好きになって、頼った自分が莫迦みたい!」

「俺じゃない!
俺はやってない!
信じて、紅夏!」

松岡くんが私の肩を掴む。