松岡くんは私を守ってくれるって。
絶対に俺が守るからって。

あれが、嘘のはずがない。

「でも、松岡くんが私に嫌がらせをする理由がないので」

わけもなく心臓がどくん、どくんと大きく鼓動する。

そんなはずがない、そんなはずがないのだ。

でも、松岡くんなら私の住所を知っている。
黒猫を飼っているのも知っている。
いろいろな場所で郵便を出すのだって、仕事で行った先で出せばいい。

「失礼ですけどここの土地、かなりするそうですね」

「……はい」

駅まで徒歩十分弱、しかも電車で三十分もかからず都心に出られる。
スーパーも学校も近く、人気が高い。
だからこそ父は売ることにこだわったのだ。

「嫌がらせをして弱らせて、頼り切ったところを乗っ取ろう、とか」