「すみません、また押しかけるみたいに来て。
でも大藤先生、電話かけても出られないから……」

立川さんは心配そうだが、それはそうだろう。

「こちらこそすみません。
携帯、充電切れているのに気づかなくて」

笑って立川さんの前に座る。
すぐに松岡くんがお茶を出してくれた。

「ならよかったです。
なにかあったんじゃないかって……」

ちらっ、と眼鏡の奥から立川さんの視線が松岡くんへ向く。
なにかってなにを考えているのだろう。

「ご心配、ありがとうございます」

「これ。
美味しいって評判のシュークリームです。
食べニャンで4.8の高評価ついているお店なんですよ」

「わざわざいつも、すみません」

差し出された袋を受け取る。
しかし毎回毎回、美味しいところで買ってきてくれるけど、大変じゃないのかな。