「終わったら推敲して……ってひと月しかないから、ぎりぎりだー!」

ぎりぎりなのがわかっていて出すことを決めたのだから仕方ない。
それでも、できる力は全部出し切ろう。

「紅夏」

「なに?」

声をかけられて手を止める。
そういえば昨日はいきなり手を掴んで止められたけど、あれはいったいなんだったんだろう。

「立川が来てる」

「立川さんが?」

慌てて携帯を確認する。
が、電池切れしているのか反応がない。

「一応、上がってもらってるけど」

「わかった。
ありがと」

茶の間に行くと立川さんが座っていた。