ちゅっ、私の頬に口付けを落とした松岡くんは一瞬前と違い、優しかった。

「メシにしよう。
簡単なもんだけど」

「……うん」

促されてのろのろと立ちがある。
こたつの上には生姜焼きが準備されていた。

「いただきます」

「……いただきます」

箸を取ってごはんを食べる。
昨日は夕食を食べていないし、今朝もサンドイッチを食べただけだけど、お腹はあまり空いていない。
それでも、黙々と生姜焼きを詰め込んでいく。

「なんか変わったこととかなかったか」

「特にない。
……たぶん」

松岡くんが帰ってきたのにも気づかないほど、集中してキーを叩いていたのだ。
なにかあっても気づけない。