「……わかった」

はぁーっと大きなため息をつき、松岡くんは部屋を出て行った。
なにか怒らせるようなことをしたんじゃないかと、不安になってくる。
けれどすぐに彼は、布団を抱えて戻ってきた。

「ここで寝る、から。
同じベッドはかんべんな」

「……うん」

ベッドの隣に松岡くんが布団を引く。
どうして同じベッドがダメなのか気になったけれど、聞けなかった。

「今日はなにも考えないで眠れ。
いいな」

「うん……」

ゆっくり、ゆっくり松岡くんの手が私の髪を撫でる。
それが気持ちよくてそのまま眠ってしまった……。



朝、目覚めたときには松岡くんの姿はなかった。