無理矢理、セバスチャンを抱きしめる。
身体の震えはいつまでたっても止まらなかった。


「紅夏」

誰かがそっと私の目頭を撫で、ゆっくりと目を開ける。

「食欲、あるか」

彼の問いにふるふると首を横に振る。
戻ってきた彼――松岡くんはそんな私に苦笑いした。

「そうだよな」

もそもそと寝ていたこたつから起き上がる。

「松岡くん……」

縋るように彼の腕を掴んだ。
彼はなんでもない顔をしてぎゅっと私を抱きしめてくれた。

「どうした?」

額をぐりぐりと擦りつけるようにして首を振る。

「大丈夫、大丈夫だ。
俺が、紅夏も、セバスチャンも守るから」