「あっ、えっと……うん」

まだあたまはパニックなまま、素直に右手を差し出した。

「おっ、ちゃんと言うこと守っておとなしくしてたみたいだな。
少しよくなってきてる」

絆創膏を剥いで傷を確認した松岡くんは、嬉しそうに笑った。

「ほんと!?」

ということは、執筆は解禁でいいですか。

「でもまだ完全じゃないからな。
無理はしないこと。
できればもう二、三日、お休み」

「えーっ」

こっちとして早く書きたいのだ。
なのにまだ、あのストレスの溜まる左手オンリーなんて。

「また傷がぱっくり開いて、治るのが長引いていいのか」

てきぱきと新しい絆創膏を巻きながら、松岡くんは少しだけ私を脅してきた。

「……よくない」