サンドイッチはただ胡瓜を挟んだだけとは思えないほどおいしいし、スコーンはよくあるぱさぱさのと違ってしっとりさくさくだし。
タルトだってオレンジの酸味とクリームの甘さがよくマッチしている。

悔しいが、取材で行った一流ホテルのアフタヌーンティに引けを取らないどころか、へたするとこっちの方がおいしい。

そしてこれらはすべて――松岡さんのお手製だったりする。

「なにか?」

意地悪く、松岡さんの右の口端が僅かに持ち上がる。

「なんでもない!
お茶のお代わりください!」

熱くなった顔をごまかすようにカップを押しつけた。
あの日、あとから書類を確認したら、二つも年下だと知って愕然としたものだ。

「あの。
いつも思うんですけど、これって業務外なんじゃ……」

私が彼に頼んでいるのは家の掃除と買い物などの雑務、あとは夕食作り。