松岡くんが帰り、デジタルメモを開きかけてやめた。
左手オンリーの入力に慣れてきたとはいえ、まだまだ遅い。
思うように入力できなくて、ストレスは溜まる一方だ。

「早く治ってほしい……」

明日は松岡くんが少し早めに来るって言っていたから、今日はもう寝よう。
うん、そうしよう。

寝室ではセバスチャンが我が物顔で、ベッドの上で丸くなっていた。

「ここは私のベッドだっちゅーの」

苦笑いで隙間に潜り込む。

「おやすみ、セバスチャン」

今回はセバスチャンじゃなかったが、次はもしかしたらセバスチャンかもしれない。
もっと戸締まり、気をつけよう。



翌日の日曜日、松岡くんはなんだか大荷物でやってきた。

「なに、これ?」