だから――早くあれを、書き上げなければ。


夕食はちゃんとハンバーグだった。
トマトで煮込んでチーズをのせて焼いてある奴。

「やっぱり松岡くんのハンバーグは美味しいね」

「褒めたってなにも出ないぞ」

松岡くんがくいっと眼鏡を上げる。
そういう得意げなところ、可愛くて好きだな。


「本日はこれで失礼させていただきます」

「はい、ご苦労様でした」

玄関までちゃんとお見送り。

「郵便、開けずに置いとけ。
帰りに回収に寄る」

「わざわざそんなのいいよ」

「一部分とはいえ、猫の死体を家に置いとくの、嫌だろ」

「……うん」