だったらいい。
セバスチャンじゃなかったとしても、本物は嫌だ。
松岡くんは台所から使い捨てビニール手袋を持ってきた。
なにをするのか見ていたら、それを手にはめる。
「たぶん本物、だな。
横井さんのところに持って行かないと、はっきりとは言えないけど」
どうでもいいけどいくら手袋をしているからとはいえ、よくそんなものを持てますね……?
「なんで、こんなもの……。
しかも黒猫、とか」
犯人は私が黒猫を飼っていると知っているんだろうか。
だからわざわざ、黒猫を。
「ただ単に怖がらせたいんじゃないか?
けど――猫をこんな目に遭わせる奴は許せねーけど」
「ひぃっ」
松岡くんの声は地に響くように低くて、思わず悲鳴が漏れる。
「わるい、紅夏。
紅夏を怖がらせるつもりはないんだ」
セバスチャンじゃなかったとしても、本物は嫌だ。
松岡くんは台所から使い捨てビニール手袋を持ってきた。
なにをするのか見ていたら、それを手にはめる。
「たぶん本物、だな。
横井さんのところに持って行かないと、はっきりとは言えないけど」
どうでもいいけどいくら手袋をしているからとはいえ、よくそんなものを持てますね……?
「なんで、こんなもの……。
しかも黒猫、とか」
犯人は私が黒猫を飼っていると知っているんだろうか。
だからわざわざ、黒猫を。
「ただ単に怖がらせたいんじゃないか?
けど――猫をこんな目に遭わせる奴は許せねーけど」
「ひぃっ」
松岡くんの声は地に響くように低くて、思わず悲鳴が漏れる。
「わるい、紅夏。
紅夏を怖がらせるつもりはないんだ」