前は執事服に猫柄エコバッグなんてって笑っていたけれど、いまは可愛く見えるのはなんでだろう?
「べーにか」
差し出される彼の手に、自分の手をのせた。
すぐに指は絡めて握られる。
「毎日、こうやって紅夏と買い物したいなー。
それに紅夏、俺がこうやって連れ出さないと、家から一歩も出ないだろ」
「そんなこと……なくもない」
松岡くんが来てくれるようになってから、食料調達に行かないで済むようになった。
たまに、編集さんと打ち合わせをするとき以外、家を出ないといってもいい。
「それでさ、子供ができて、お弁当持って三人で動物園に行くの」
「待って。
なんかいろいろすっ飛ばしてない?」
こ、子供、とかさ。
一応、まだ松岡くんは仮彼氏なわけで。
それに私はまだ、ちゃんとした……キス、とかしたことがないわけで。
もちろん、その先もないわけで。
「いつか、の話。
俺の夢?
かな。
きっと、紅夏が叶えてくれるって信じてるけど」
「う、うん。
……善処します」
「善処かよー」
松岡くんはがっくり項垂れてしまったけれど。
もうちょっとだけ待ってね。
あれを書き終わったらきっと、ちゃんと自分と向き合えるから――。
「べーにか」
差し出される彼の手に、自分の手をのせた。
すぐに指は絡めて握られる。
「毎日、こうやって紅夏と買い物したいなー。
それに紅夏、俺がこうやって連れ出さないと、家から一歩も出ないだろ」
「そんなこと……なくもない」
松岡くんが来てくれるようになってから、食料調達に行かないで済むようになった。
たまに、編集さんと打ち合わせをするとき以外、家を出ないといってもいい。
「それでさ、子供ができて、お弁当持って三人で動物園に行くの」
「待って。
なんかいろいろすっ飛ばしてない?」
こ、子供、とかさ。
一応、まだ松岡くんは仮彼氏なわけで。
それに私はまだ、ちゃんとした……キス、とかしたことがないわけで。
もちろん、その先もないわけで。
「いつか、の話。
俺の夢?
かな。
きっと、紅夏が叶えてくれるって信じてるけど」
「う、うん。
……善処します」
「善処かよー」
松岡くんはがっくり項垂れてしまったけれど。
もうちょっとだけ待ってね。
あれを書き終わったらきっと、ちゃんと自分と向き合えるから――。