「紅夏の王子だった立川のことを信じたいのもわかるけど。
あいつは絶対、怪しい」

「……王子とか、言わないでー」

改めて人から王子だなんて言われると、自分がいかに痛い人間だったかがわかる。
恥ずかしすぎてこたつに潜って隠れてしまいたいくらいだ。

「……とにかく。
あいつは怪しい。
それだけは覚えておけ」

なぜか松岡くんは気持ちを切り替えるように小さく咳払いした。

ん?
どうかしたのかな?

「一応、心には留めておく」

「一応かよ。
ま、しょうがないな」

苦笑いした松岡くんはちゅっと、私の額に口付けを落とした。

「んで。
……暇なら少し、外出しませんか」