天誅なんて少し古風な言い回しを立川さんがし、苦笑いしかできなかった。

「でもその指じゃ、執筆できませんね」

私の指に、立川さんは顔を曇らせた。

「そう、なんですよねー」

少しくらいなら大丈夫そうだが、やり過ぎてとうとう松岡くんからストップがかかった。
やっと無理したときのことに気づくと、怖くなったし。

「締め切り、間に合いそうにないですか」

「あ、でも、左手は使えますし、いまは音声入力だってありますし。
絶対に間に合わせます」

そうだ、あれは早く書き上げてしまわなければならないのだ。
でも傷は悪化させられないし、松岡くんにも止められたし、悩ましい。

「無理はなさらないでくださいね」

「はい」