「あーもー」

邪魔で一つ結びにしただけの髪をイライラと掻き毟る。

「集中、しよ!」

デジタルメモの前で一度、大きく深呼吸をして私はまた、猛然とキーを叩きはじめた。


「……暗い」

キーが見えにくくなって、日が暮れたのだとはじめて気づいた。

「一回、休憩……」

片手を伸ばし肘を持って背伸びをしたら、身体がバキバキと鳴る。
昼過ぎに起きていままで、ずっと机に向かってデジタルメモのキーを叩いていたとなると、仕方ない。

「うっ、腰いた……」

運動不足のせめてもの抵抗で、椅子代わりにしているバランスボールから立ち上がると、腰が完全に固まっていた。
腰を押さえながらよろよろと部屋の外へ向かう。

――ガッ。