すーっと銀縁眼鏡の奥の目が、切れそうなくらい細められてぶるりと身体が震える。

「……案外、喜んでいらっしゃったんじゃないですか」

「なっ」

図星を指されて言葉に詰まる。
確かに執事は書かないなど言っておきながら、資料になるかもとこっそり、観察していたのも事実。

「私に同意を取らず、写真など撮影していらっしゃいましたよね」

「うっ」

「そういうの、なんというかご存じですか……?」

ゆっくりと松岡さんの顔が近づいてくる。

「……盗撮、っていうんですよ」

バリトンボイスが耳元で囁かれる。
震える息を吐き出し松岡さんを見上げた。
目のあった彼がにっこりと笑い、私は完全にフリーズした。

「この服以外に問題がないのなら、契約をお願いしたいのですが」