この血、なに?

血がどんどん流れ出て目の前が真っ暗になった。

「……にか。
紅夏!」

「まつ、おか……くん?」

のろのろと視線を上げた先に、酷く心配そうな松岡くんの顔が見えた。
けれど目があうとさっと逸らされる。

「ちょっと待っていてください」

部屋を出て行った松岡くんはすぐに、絆創膏とタオルを持って戻ってきた。

「指を」

「あ、……うん」

ずきずきと痛む右手を差し出す。
松岡くんは手に付いていた血を濡らしてきたタオルで拭い、傷を確認した。

「もう血も止まっていますし、大丈夫だと思います」