「こんなことを言うのもなんですが、小説の体裁すらとれていない作品だって応募されてくるんですよ?
だから自信を持って」

なんだか慰め方がずれている気がするが、おかげで少し、肩の力が抜けた。

「じゃあ、……頑張ってみます」

「はい」

ダメだったらダメでいい。
ただ、いま持てる力を全部出して、頑張るのみ、だ。


「今日はほんと、突然押しかけてきてすみませんでした。
でも、この間、電話で話したときの大藤先生が気になって」

かなりの落ち込みモードだったから立川さんはさぞ、心配したのだろう。
しかもいま、あんな嫌がらせを受けているとなると。

「……なんか、すみません」

「いえ。
じゃあ、僕はこれで。
なにかあったらいつでも電話ください」