「……なら、いいんですけど」

立川さんはnyamazonに悪辣なレビューをつけた人間と、悪質な郵便を送ってくる犯人が同一人物だと決めつけているようだけれど。

――はたして、そうなのだろうか。

「話は変わりますけど、作品の進み具合はどうですか」

立川さんの声で、少し考え込みそうになっていた意識を慌てて戻す。

「……進んでます」

あれ、は早く書き上げてしまわなければいけない。
なによりも優先して。
そうじゃないと私は――。

「そうですか。
その、もしよかったら、蒼海文芸大賞に応募してみませんか」

「……はい?」

物思いにふけって聞き流していたら、思いがけない言葉に顔を上げた。