「そう、ですよね」

私も同じことを考えた。

「反対にこっちから、呪ってやりたいくらいですよ」

立川さんは本気なのか冗談なのかわからない。
でも、そんな気持ちになるのはわかる。

「でも、人を呪わば穴二つ、って言いますし」

「大藤先生は優しいんですね」

「優しくなんかないですよ。
自分に返ってくるのが嫌なだけで」

笑ってごまかして、紅茶を口に運ぶ。

私だって呪えるなら犯人を呪いたい。
でもそれはいま私に嫌がらせをやっている人間と同じことをするということになる。

そんなのは――嫌だ。

「社にもこの件、伝えておきます。
まあ、ピュアホワイトの身元が割れるのも秒読みですから、すぐに終わるとは思いますけどね」