「あ、出しちゃダメです」

フリーザーパックを開けようとした彼を慌てて止める。

「その、できるだけ指紋をつけないようにって、警察の方が」

「なるほどですね」

納得したのか立川さんは頷き、フリーザーパックの上から中のものの観察をはじめた。

「こっちの本は釘を打ってありますけど、この未開封のは?」

封を切っていない封筒を、フリーザーパックごと立川さんが持ち上げる。

「いつも金曜日にエスカレートするから、ほかの曜日のは同じ内容だろうと開けてないんです。
ちなみに釘の分が先週金曜日で、先々週は血塗れになって送られてきました」

「血塗れ、ですか。
気持ち悪いですね」

立川さんもいい気はしないのか、不快そうに顔をしかめた。

「この釘打ちの奴も。
まるでワラ人形に釘を打って呪っているみたいじゃないですか」