しつこいくらい、何度も。

寝室で適当な服に着替え、いまさら無駄だとわかっていながら化粧をした。
アイシャドウもチークもちゃんと塗る。
でもマスカラだけはパンダになったときが怖くて、塗れなかった。

最後に、松岡くんからもらったペンダントをつける。

――私はちゃんと、松岡くんのものだよって言いたくて。

「そういえば、なんでベッドで寝てたんだろう……」

間違いなく、仕事部屋の床に転がったところで記憶が途絶えている。
まさか、最後の気力でベッドまで行ったなんてないと思うんだけど……。
ほんと、なんでなんだろう。

「ただいま戻りました」

「はい!」

松岡くんが戻ってきて、私も茶の間へ向かう。

「郵便が届いておりました」